「風立ちぬ」伝えたいことを考察&解説

2013年に公開された「風立ちぬ」の伝えたいことを考察、解説します!
「風立ちぬ」はジブリ初の実在の人物、第2次世界大戦の史実を描いた作品。
「風立ちぬ」が伝えたいことを考察してみた結果、宮崎駿監督が作品を通じてなにかを伝えようとしているのではないのではないかと。
伝えたいことがあるというよりかは、過去の事実を描き、そこからなにを感じ取るかは観客に委ねられているのではないかと感じました。
「風立ちぬ」の作品の特徴や描かれていることを解説、筆者がそこから感じ取ったことを解説します!
「風立ちぬ」を考察し解説
「風立ちぬ」の作品を考察し解説します。
作品2つの特徴
歴史もの
「風立ちぬ」はジブリ作品の中でも数少ない歴史モもの。
ジブリ作品はファンタジー作品となっているため登場人物は実在する人物ではありませんし、歴史ものでもありません。
ジブリ作品の中でも歴史ものとして描かれたのは、「風立ちぬ」以外には高畑薫監督の「火垂るの墓」のみとなっています。
実在の人物を描く
「風立ちぬ」は、ジブリで唯一実在の人物を描いています。
また主人公の堀越二郎は以下2つの人物を複合させています。
- 飛行機の設計面ではゼロ戦を開発した堀越二郎
- 恋愛面では堀辰雄の自伝的小説「風立ちぬ」
「風立ちぬ」は、第2次世界大戦中にゼロ戦を開発した堀越二郎が主人公。堀越二郎は1903年に生まれ、20代の第2次世界大戦中に三菱重工業で飛行機開発を行います。
ゼロ戦は1936年に正式採用されているので、堀越二郎が33才のころのこと。
映画で描かれている主人公の堀越二郎と菜穂子との恋愛関係は、堀辰雄の小説「風立ちぬ」に描かれた堀辰雄の自伝的小説をもとに描かれています。
若者の活躍がうらやましい
「風立ちぬ」の映画を観て、筆者が一番感じたことは、「若き設計者たちが時代を動かす」という点です。
ゼロ戦を開発した主人公の堀越二郎は大学卒業後すぐに三菱重工業に就職し、20代後半には設計主任として戦闘機の設計に携わり、最終的には33才でゼロ戦を開発します。
筆者も若き20代だったころがあります! その当時の企業とは、年上の先輩たちが上にぎっしり存在していて会社に入った時点で20代ってペイペイなんですよね。
周囲の年齢と相対比較して自分はまだ若いし先が長いので別にガンバル必要なんてないだろうそうおもっていたんです。
それに年齢にかかわらず、何やっても何もできない人が上に沢山いたので、私より年上の人がそんなレベルなんだから年下の私が何かする必要もないし何も求められるべきでもないと考えていました。
でも本当は、エネルギーが有り余っていてもっといろいろできる能力も時間もあったと思うのですが、会社内ではそれが叶わなかったので趣味にはまっていましたね。
でも「風立ちぬ」では20代から30代前半の未来がキラキラした希望に満ちた世代たちが、戦争時に重要な戦闘機の開発の第一線で活躍しているのです。
ちなみに、戦後直後(1947年)の日本人の平均寿命は男性が50.06年、女性が53.96年となっておりだいたい50歳位が平均寿命だったのですね。筆者は現在40代中頃なので当時ならあと少ししか寿命がなく世間ではおばぁさんみたいな扱いだったのでしょうかね^^;
寿命を50歳と考えた場合、その中間くらいの世代が仕事にまい進していて社会の中核を担っているといってもいいかもしれませんね。
寿命が長くなったから現在は女性は88歳になったからその真ん中の40代が社会の中核を担っていると言われればそうかもしれませんね。
でもやはり人間の生理的な本質で考えたら、20代から30代前半って未来がキラキラして、体力も気力も充実している最も仕事に適した世代だったのかと思います。
筆者は、20代から30代前半をのんびり生きてしまったので、「風立ちぬ」の主人公の堀越二郎らが飛行機開発に夢を掛ける姿はすごくうらやましいです!
戦闘機の開発により多くの人間が亡くなった。。
風立ちぬは飛行機開発の物語。確かに人類は鳥のように空を飛びたいと取りに憧れて空を飛ぶことができるようになりました。
ただ筆者は女性なので、飛行機に興味が合ったり空を飛ぶことに特別憧れを持ったりはないのですが、恐らく男の子なら強い憧れがあるのだろうと感じますね。
堀越二郎は、子供時代から飛行機が大好きで、開発者のカプローニを尊敬していました。
戦争で勝つためにゼロ戦を作りました。しかし結果的にはゼロ戦により多くの人間が死んだことも事実です。敵を殺し、日本人の家族や仲間を失ったのです。
ゼロ戦は、特攻隊が乗る飛行機としても使用されました
戦争に勝つことは日本人を守る事でもありました。そのために敵国に勝つために戦闘機の開発は重要な国の任務でした。
それは人類の科学技術の進歩ももたらしました。しかし一方で多くの人間を殺してしまう惨劇にもなったのです。
この点は、ダイナマイトを開発したノーベル(アルフレッド・ノーベル)と重なるでしょう。(ノーベルはノーベル創設者)
「風立ちぬ」伝えたいことを考察
「風立ちに」の映画を観たり、ジブリの教科書を読んだり、筆者なりの感じたりしたことをまとめたりしていると、この作品は、観客に何かメッセージを伝えたいわけではないのではないかと感じました。
「風立ちぬ」の作品は以下3つが中核となっています。
- 飛行機好きな宮崎駿監督の飛行機への熱い思い
- ゼロ戦を開発した堀越二郎らの人生
- 飛行機開発がもたらした戦争の人類への被害
約80年前の日本は、戦争せざる負えなくなり、日本人は国や家族を守るため、勝つために闘うことになります。堀越二郎の場合に闘ったのは戦闘機を開発すること。
しかし結果的には外国人も日本人も多くの人が亡くなる結果となりました。
ただ宮崎駿監督が、堀越二郎らが開発したゼロ戦を戦闘機開発の成功の面と、そのもたらした惨劇という物事2つの側面とか、若い人の情熱が日本の中核を担っていたということを伝えたかったのではないと思います。
ただ日本の第二次世界大戦の史実として過去の事実を克明に描き、あとは観客がそこから何を思うかをゆだねられていたのではないかと思います。
引退宣言!
「風立ちぬ」公開時、宮崎駿監督は70代前半でした。年齢的なことがあり「風立ちぬ」を長編映画製作最後の作品と考えていたようです。
ただアニメ作品制作からの引退ではなく、あくまで長編アニメ映画製作からの引退宣言でした。
しかし、2023年には宮崎駿監督最新作「君たちはどう生きるか」の長編映画が公開され、実質上の最後の作品になるかもしれないとファンからは考えられています。