ナウシカが伝えたいこと なぜ16歳の少女がリーダーになれたか考察&解説

「風の谷のナウシカ」が本当に伝えたいこととは何でしょうか。
実は主人公のナウシカはまだ16歳の少女。ジブリ作品には多くの少年少女が主人公ですが、なぜナウシカだけが地球を救うようなリーダーにまでなれたのでしょうか。
そこには、人間のリーダーに必要な資質が彼女の中にあることに気が付きます。
一方で、公開から40年以上たった今、ナウシカを見返しながら、筆者は日本や世界の明るい未来が想像できない自分がいました。それはなぜなのでしょうか?
戦争や核兵器などの脅威に常にさらされた未来、日本経済の衰退、chatgptやgeminiなどの人工AI発達など。
本記事では、ナウシカが伝えたいメッセージの核心を考察するとともに、16歳の少女がリーダーに選ばれた理由、そして現代社会の閉塞感と作品の繋がりの視点も交えて徹底解説します。
なぜ16歳のナウシカが理想のリーダーになったのか?
ナウシカは16歳の少女、今で言うなら高校1年生くらいです。そんな10代半ばの女の子が滅びる寸前である地球を救うリーダーになるには、それなりの資質があったはずです。筆者は以下3点だと考察します。
- 地位に負けない責任感
- 共生意識と多角的な視点
- 自己犠牲と行動力
父ジルから受け血だ王女の地位と責任感
「風の谷」族長ジルの娘さんである跡取りとして生まれます。
ナウシカは「風の谷」の跡取りではありましたが、本当に「風の谷」の未来を背負う素質があり、それは村人たちも感じていました。
ナウシカは王女の地位が約束されていましたが、人類の行く末を思うとどこか悲しげな雰囲気を身にまとっていました。
共生意識と多角的な視点
ナウシカは、小さなころから王蟲と友達でした。
ナウシカは、腐海や王蟲はこの地球を守る浄化槽なのだと訴え、腐海や王蟲と人類が共存することを主張します。
「風の谷」と敵対していた、「トルメキア軍」や「ペジテ市」では、腐海や王蟲を忌み嫌い排除することで生き延びようとしてきました。
トルメキア軍の王女は、自身が腐海によって腕や足をもぎ取られた経験から腐海やオームを憎んでいました。
私たちは、あるべき姿のために常に逆の存在を嫌う傾向にあります。
例えば明るさと暗さ、発展と衰退、競争と敗北などなど。でも思うにその逆作用は人間社会の問題点の定義と考えることもできるのではないでしょうか?
自己犠牲しても守る行動力
ナウシカは王蟲の怒りを抑えるために身を挺して王蟲の子供を助けようとします。そして結果的には王蟲の心によって命を救われるのです。
そんなナウシカの態度を見て、腐海や王蟲を敵視していた人々も、ナウシカの姿を見て、腐海は焼き払うべき敵ではなく、地球や地球の命を守る命の浄化槽であることに気が付くのです。
地球が生き延びるために地球上の毒素を集めたのが腐海であり、腐海で毒素を浄化して地球に帰すことで、数少ない人類が生き延びることができていることを理解します。
時代背景から見るナウシカの伝えたいこと

地球や人類の終末を描いたナウシカが公開されたのは1985年。
日本の高度経済成長期である戦後の1955年~1973年を終えた時期で、まだ日本人が未来に対してポジティブなイメージを抱いていたころ。
しかし一方、科学技術が発展し、いつか核戦争が起こり人類が存続の危機にさらされるという不安感も持っていたのです。
ナウシカが生まれた時代背景
ナウシカが生まれた1980年代を高度経済成長期と、米ソ冷戦の視点で解説します。
高度経済成長期
高度経済成長を終え第2次世界大戦の敗戦から立ち直り、その豊かさの残りを未だ享受していた1980年代に「風の谷のナウシカ」は公開されました。
経済大国としての地位を得、誰もが自信を持っていた時代であり、未来にワクワクした希望を抱いていました。
しかし人類は未来への2つの不安を抱えていたと言えます。
- 第3次世界大戦が起これば核戦争になり人類や地球環境は滅亡の危機に立たされる
- 工業社会がこのまま発展すれば。地球環境を破壊し、いつかしっぺ返しを食らうだろう
なんか未来が不安・・・
実際、工業の発展により国内では、環境汚染と公害病が問題になり、水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病などの公害病が起きたことは、学校で習ったことと思います。
工業技術が発展することは喜びでもありましたが、人類は持ちえた技術をコントロールできなくなり、どこかで手に負えなくなるのではないかという不安感を抱えていたのです。
米ソ冷戦
第2次世界大戦末期から1980年代終わりは米ソ冷戦の時期に当たります。1991年にソ連の社会主義体制が崩壊し、冷戦も終結します。
ナウシカでは、巨神兵が「火の七日間戦争」によって地球環境を破壊し、人類を滅亡寸前まで追いやったとされています。
ココでいう巨神兵や火の七日間戦争とは何を表しているのでしょうか。
オームと闘わせるために蘇らせられた巨神兵とは人類が作った最強戦士とされており、巨神兵とは核兵器を表していると考えられます。
「火の七日間戦争」は、核戦争を表しているのでしょう。闘う国と国とは、米ソ冷戦の超大国同士の対立を表しているのでしょう。
地域共同体の復活
戦後日本がどんどん経済成長を遂げていくにつれて、誰もが感じていた失っていたことがありました。それは地域共同体の崩壊でした。
発展した現代社会において、個人は家族や友人やグループなどの共同体で生きていたころから、より個人が孤立化する方向へ向かって行ったのではないでしょうか?
昔は誰もが農業の仕事であれそれ以外の仕事であれ自分の住む地域で働くことが多かったからかもしれません。しかし仕事と住まいが切り離されて住まいは単なる寝床になったのかもしれません。
最終戦争後、地球環境が破壊され、一部の高度な技術を残しながらも、人類は農業社会に逆戻りし原始的な生活を余儀なくされました。
昔のように村人が集まって地域共同体として、力や知恵を集めて生き延びている姿が描かれています。
最終戦争により近代社会が崩壊して原始社会に戻ったとき人類が地域共同体に戻るように描かれています。
しかし真実は、現代社会は最先端技術により自分の力だけで生きているように錯覚させられているだけでその力は誰かの力の結晶なのかもしれませんね。
生存の危機に瀕したとき、人間は一人の力では生きてはいけません。複数の能力を掛け合わせてなんとか生き延びているのです。
そんな仲間との助け合い能力を掛け合わせることで、困難な状況でも生き延びることができるという共同の価値と希望を伝えたいのではないでしょうか。
人間の能力は掛け算!!
現代から見るナウシカ

ナウシカで描かれた、第3次世界大戦1,000年後。人類の破滅である未来は本当にやってくるのでしょうか、現代社会から考察してみましょう。
公開から40年 経済成長しない日本から見たナウシカ
ナウシカ公開から40年以上経った現在、今の日本はどうなっているでしょうか。
世界では不安定な地域でたびたび紛争が勃発しています。
第2次世界大戦から80年近くが経っていますが、第3次世界大戦は起きておらず人類は進歩し続けています。
しかし、1980年代とは大きく異なる点があります。それは日本は経済成長していないということです。日本はここ30年全く経済成長しておらず少しずつ貧しくなっていたからです。
2023年のGDP(国内総生産)では、日本はドイツに抜かされてGDP4位に転落しました。
ただGDPは国内総生産を表すため国民の数が多いほど高くなります。例えば中国はGDP2位ですが国民が多いために1人当たりのGDPは高くないのです。
日本の1人当たりのGDP順位(2023年現在)は世界と比較すると実はかなり低いことが分かります。
- G7(世界の7大経済大国)のうちGDP/人は、最下位(グローバルノート公式サイト)
- 世界のうち、GDP/人は34位(グローバルノート公式サイト)
世界の経済大国が集まるG7では、1人当たりのGDPは何と最下位で一番貧しい国であり、世界では34位とG7に入っていない多数の国に負けていたのです。
1984年ナウシカ公開当時の日本は高度経済成長期のさなかであり、科学技術の進歩による先の破滅(核戦争)を恐れていたはずです。
しかし、2020年代半ばに生きる日本人にとっては日本経済が衰退していることは明らかで、進歩の先の破滅というより日々の生活をどう生きるか? その方がずっと現実的な悩みになって来たのではないでしょうか。
人工AIの発達
そして2023年ころから世に出てきた人工AI。それまでは今のようなchatgptやgeminiのようなツールは存在しませんでした。
それまでは、仮に人工AIによって文章が作成できるようになったとしても人間を超えることはないだろう。なぜなら人間には心があるから人間の心を動かす文章は人間にしか書けないだろうと言われてきたのです。
心を持たない人工AIに人間を超える事なんて不可能よ!
しかし現在の人工AIは驚くほどに急速に発達を遂げ、私たちを感動させる文章を作成するまでになったのです。
そこで筆者が不安になることがありました。
経済成長しなくなった日本からすれば核兵器による人類破壊なんて不安より私たちの日々の生活の方が重要でした。
しかしAIの登場によって、人間が人工AIに仕事を明け渡すにつれて、人工AIに人間が支配され、人工AIが言うから正しいんだと考えるようになる危険性はもう皆さんも日々感じておられるでしょう。
ハッキリ言ってしまえば、日々chatgptやgeminiを使いこなす私たちは既に、chatgptやgeminiがOKしてくれないと確信が持てないまでに来ているからです^^;。
人工AIの登場により、人間が仕事をAIに明け渡すことによりAIをコントロールするのではなくAIに人間がコントロールされる側になり人類が破滅に向かっている気がしてなりません。
まとめ
「風の谷のナウシカ」が公開された1980年代の時代背景を、高度経済成長期と米ソ冷戦の視点から考察し解説しました。
しかし高度経済成長の名残でまだ豊かだった日本は、ここ30年で徐々に衰退してきました。
ではナウシカで描かれたような、核戦争への脅威や地球環境の破壊などの危険性は減ったのでしょうか。
そんなことはあり得ないでしょう。他の世界では経済発展しており日本が取り残されていたからです。
人類は進歩した結果の技術を破壊的な方向へと使う危険性を常にはらんでいるのだということを。
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ナウシカ考察記事を書くに当たり参考にした公式データや書籍類をこちらのnoteにまとめました。

