「君たちはどう生きるか」を気持ち悪いと感じる場面とは

「君たちはどう生きるか」は、宮崎駿監督の遺言的な作品です。
筆者は好きな作品ですが中には「気持ち悪い」という感想を持った方もいるようです。
筆者は「気持ち悪い」と思ったという感想を意外に感じたのですが、確かに作品中の部分部分においては、不気味で不快な印象を抱く部分がいくつかありました。
作品の中の部分部分において、不気味で不快な印象を抱いたために「気持ちが悪い」という印象を抱いたのでしょう。
「君たちはどう生きるか」の気持ち悪いと感じられる場面をまとめてみました。
「君たちはどう生きるか」気持ち悪い場面
「ポスター」

見た目的に気持ち悪い度:⭐⭐⭐
道徳的気持ち悪い度:⭐
暗くって気持ち悪い度:⭐⭐
【筆者の考察】
「君たちはどう生きるか」では事前の宣伝は行われずに、ポスターが公開されました。ポスターの余りのかわいげのなさに感想が持てなかった人も多いはず。コレは何? なんか真面目なポスターだわ。
鳥さんのくちばしの中に何やら目が・・・しかも目付きが冷酷・・・でも「その視線の厳しさの正体が知りたい」そんな衝動に駆られて作品を見てみようと思った方も多いのではないでしょうか。
もしかしたらポスターの気持ち悪さや冷たさは監督の計算済みだったのかもしれませんね。
ポスターの絵柄は一言で言うと単なる鳥で、アオサギなのですが、鳥のくちばしの中に目が入っていますよね。しかもその目が厳しい目つきです・・・
ポスターを見た時、単純に「怖い、、」と感じました。それがちょっと気持ち悪いという印象を与えた可能性も。
「妹との再婚するお父さんの感覚」
見た目的に気持ち悪い度:⭐⭐⭐
道徳的気持ち悪い度:⭐⭐⭐⭐⭐
暗くって気持ち悪い度:⭐⭐
【筆者の考察】
主人公の母親が戦争で亡くなり、その後父親は亡くなった妻に瓜二つの妹と再婚します。この感覚が現代ではありえずに「道徳的に気持ち悪い」と感じた人は大半だったと思います。
眞人のお父さんは「妻の顔が好きだったので、顔が同じ人と再婚して亡き妻を重ねたい」そう思ったのでしょうか。
仮に妻の顔がとても好きだったとしても、同じ顔の人と結婚するのは、現実を受け入れられない不健康なことだと思います。
そんなことを新しい妻に求める旦那さん気持ちが悪いと感じてしまうのです。
眞人から見たらどうでしょうか。大切なお母さんが亡くなりしばらくたったらお母さんと同じ顔の女性がやってくる。混乱するし、母親への想いを新しいお母さんへぶつけてしまうことだってあるでしょう。これはある意味かわいそうだしやっていは行けないことだと思うのは筆者だけではないでしょう。
でもこの作品の時代は戦後という時代設定。、結婚はお見合いが多く、家柄が良い設定なので家同士の結婚と考えられ、新しい奥さんは妹ということになったのではないかと考えられます。
「鳥のアオサギの顔」

見た目的に気持ち悪い度:⭐⭐⭐⭐⭐
道徳的気持ち悪い度:⭐
暗くって気持ち悪い度:⭐⭐
【筆者の考察】
「アオサギの顔」は、この映画の「見た目的気持ち悪い度」の頂点と言っても過言ではありません。
「なんだ!? このおじさんは・・・」
主人公を下の世界に連れ込む友人としての役としてのアオサギ。人間のようにしゃべる設定なので人間の顔がついているんです。それがポスターのくちばしの中の顔になるのですが。
そもそも鳥のくちばしの中に人間の顔が入っているという発想が気持ち悪い訳です。さらに顔が全然かわいくなく、おやじであり、こわいんですよね。声も中高年よりも上ン設定でしょうか。その辺が気持ち悪いと感じた点ではないかと。
ただ作品としては、悪の入り混じる世界をどう生きるかという問いかけなのでアオサギの顔がハンサムだと説得力に欠けるため、コワいおやじ顔になっているのではないかと。
ジブリ作品では登場人物がかわいらしくてグッズとして発売されるケースが多々ありますが「君たちはどういきるか」に関してはなかなかぬいぐるみとかがかわいいとは思えないんですよね^^;。
「作り物の夏子」
見た目的に気持ち悪い度:⭐⭐⭐⭐⭐
道徳的気持ち悪い度:⭐⭐⭐⭐⭐
暗くって気持ち悪い度:⭐⭐⭐⭐⭐
【筆者の考察】
主人公を下の世界に呼び寄せるために、アオサギは、主人公の大切なお母さんの偽物を作り仕立て上げます。しかし主人公がふれると解けて崩壊してしまうのです。
この場面を見て「おえーーー!!」と思った方は多いはず。亡くなった眞人が追い求めているお母さんの姿の作り物を作るという発想が気持ち悪いです。
そもそも主人公を呼び寄せるために、最愛の母親の作り物を作るという点で気持ちが悪いですよね。この点においてアオサギは悪意を持っているともいえるわけです。しかもそのような悪意を持つアオサギに対しても気持ち悪さを感じるのです。
「魚を捌くシーン」

見た目的に気持ち悪い度:⭐⭐⭐⭐
道徳的気持ち悪い度:⭐
暗くって気持ち悪い度:⭐⭐⭐
主人公が下の世界に迷い込んだ際に、巨大な魚を捌くシーンがありそれがとても生々しいです。
巨大な包丁が刺さった瞬間、ドバッと溢れ出す内臓と、うごめくような魚の身体。魚を料理するというよりも魚を殺すという印象が強く見た人は一瞬言葉を失うほど。
人が生きるためには生きた動物を食べて生きなければならない。そのために生の動物を裁く生々しいシーンを入れたのかもしれないですが、普段見慣れていないのでとにかく気持ち悪いです。
ただ作中で動物が死ぬシーンで気持ち悪いのはさいわいこのシーンだけでした。
「石を積むシーン」

見た目的に気持ち悪い度:⭐⭐⭐
道徳的気持ち悪い度:⭐
暗くって気持ち悪い度:⭐⭐⭐⭐⭐
【筆者の考察】
下の世界を作り上げた叔父さんは、下の世界で13の石を積んでいました。石を積むというと日本人なら、「賽の河原で石を積む」シーンを思い浮かべるのではないでしょうか。
「賽の河原で石を積む」とは、親より先に亡くなった子供が、「一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため」と三途の川のほとりで父母の供養のために石を積み仏塔を作るという伝承です。
このおじさんは何か悪いことをして罰として下の世界の闇で石をずーーーっと積んでいたのではないかと想像し気持ち悪くなりました。
幸い、叔父さんは別に罰ゲームで石を積んでいたのではないのでホッとしましたが。
「叔父さんが幸せに見えない」
見た目的に気持ち悪い度:⭐⭐⭐
道徳的気持ち悪い度:⭐⭐
暗くって気持ち悪い度:⭐⭐⭐⭐⭐
【筆者の考察】
地上の世界から逃れた叔父さんは「下の世界」を作り上げそこで生き続けて時間が経ちました。
自ら望んで「下の世界」に移り住んだのですが、全然幸せに見えないんですよね。叔父さんの表情はまるで心が動くことも無くなった不幸のように感じられるのです。
叔父さんは地上を諦めて下の世界に行き場を求めたのですが、その世界がどうも苦行のように思えて幸せに見えなく感じ、終わりのない不幸、地獄を見せつけられているようで気持ちが悪いと感じました。
皆さんは会社で働いてると疲れるな――と思うことってありますよね。人間関係が面倒くさい。そのように感じるのはいいんです。しかし全てから逃れ一人生きる世界には喜びは無い。そんな風に言っているように筆者には思えるんです。
7シーンの気持ち悪い度総括
| NO | 見た目 | 道徳的 | 暗さ | |
|---|---|---|---|---|
| 1. ポスターのアオサギ | ★★★★ | ★ | ★★★★★ | 期待を裏切る不気味な予感 |
| 2. お父さんの再婚 | ★ | ★★★★★ | ★★★ | 身近な人間の無神経さ |
| 3. アオサギの顔 | ★★★★★ | ★★ | ★★★★ | 生理的な嫌悪感のピーク |
| 4. 作り物の夏子 | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | 聖域を侵す恐怖と本音 |
| 5. 魚を捌くシーン | ★★★★ | ★★★ | ★★★ | 生存のための生々しい殺生 |
| 6. 石を積むシーン | ★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | 賽の河原のような終わらぬ執念 |
| 7. 大叔父様の不幸 | ★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | 創造主の絶望と孤独な狂気 |
気持ち悪い7シーンを比較してみると、単に「見た目が怖い」だけでなく、「道徳的なモヤモヤ」や「心の不幸の暗さ」が複雑に絡み合っていることがわかります。
結局、映画「君たちはどう生きるか」が『気持ち悪い』と感じるのは、私たちが普段毎日楽しむために見ないようにしている自分の中にある一面を描いてしまっているからではないでしょうか。
作品を通してみる「気持ち悪さ」は、結局私たち一人ひとりの心の中にある暗闇を映し出しているのかもしれません。
まとめ
作品自体は「君たちはどう生きるか」というタイトル通り、私たちにどう生きるか問いかける作品です。
善と悪の入り乱れた人類の末をを思うと嫌気がさすような地上を諦め、「下の世界」に生きることを選んだ大叔父さま。
その大叔父さまが主人公や観客に「どう生きるか」を問い掛ける作品。そのため、社会の闇から問いかけるという手法を取っていることから暗い場面や気持ちが悪いと感じられる場面がいくつかあると言えるでしょう。
ただ「君たちはどう生きるか」は決して暗い作品ではなく、キャッチコピーの「友だちを作ります。」といったような明るいポジティブな未来を予想できる終わり方になっています。
